工場用地

熊本で工場用地を探すとき、最初に調べる3つのこと

熊本営業所読了 14分
熊本で工場用地を探すとき、最初に調べる3つのこと

半導体の工場が動き出してから、熊本で工場や倉庫の用地を探す会社が増えました。台湾から進出する会社、その取引先、物流の会社。当社の熊本営業所にも、土地のご相談がよく届きます。

最初にお伝えしているのは、熊本の土地は「場所がよくて、値段が合う」だけでは決められないということです。同じ菊陽町の中でも、工場を建てやすい土地と、建てるのが難しい土地があります。それを分けるのが、この記事で取り上げる3つ、区域・農地・水です。

菊陽・大津・合志の周りの工業団地には、いま空きがありません

工業団地は、区域と農地の手続きが済んでいて、道路も整っているのが利点です。ただし、地下水をくみ上げる場合は、工業団地でも別に手続きが要ります(3つめで説明します)。

菊陽町の半導体工場
菊陽町の半導体工場
熊本県の工業団地・工業用地の分譲中と分譲予定。点はおおよその位置です
熊本県の工業団地・工業用地の分譲中と分譲予定。点はおおよその位置です(熊本県・各市町の公表資料をもとに当社作成)

熊本県の用地検索(企業立地ガイド熊本)には26件の用地が載っていますが、菊陽町・大津町・合志市・益城町の用地は0件です(2026年10月時点)。大津町の熊本中核工業団地と大津南部工業団地は売り切れています(大津町、2025年4月時点)。

これから分譲が予定されているのは、益城町(2次募集は2026年4月に締め切り)、大津町の護川地区(2027年9月ごろ)、県営の菊池市事業区(2027年度)、県営の八代市事業区(2028年度)、菊陽町の新しい団地(2031年度が目標)などです。時期はどれも自治体の計画で、前後することがあります。面積や窓口は、団地ごとに一覧にしています(→ 熊本の工業団地一覧の記事)。

「すぐに建てたい」「工場の近くがいい」となると、民間の土地を探すことになります。そこで出てくるのが、次の3つです。

当社調べ:当社に届いた熊本の土地情報の半分近くは、用途地域の外でした

当社が受け取った熊本の土地(建物付きを含む)の売り情報179件(2026年10月23日時点)の所在地を、国の都市計画データと重ねました。場所を特定できた152件のうち、72件(47%)は用途地域の指定がない土地でした。

当社に寄せられた熊本の土地情報のうち、場所を特定できたものの区分
当社に寄せられた熊本の土地情報のうち、場所を特定できたものの区分(2026年10月23日時点・当社調べ)

半導体の工場が集まる菊陽町・大津町・合志市・菊池市と熊本市の北区・東区に限ると、102件のうち65件(64%)が用途地域の外にあります。

町ごとに見ると、傾向がはっきり分かれます。

  • 菊陽町:場所を特定できた13件のうち、10件が市街化調整区域(2026年5月22日の区域区分の見直し前のデータです。10件のうち7件は原水地区で、原水駅の周り約64haはその後、市街化区域に入りました)
  • 合志市:場所を特定できた6件すべてが、市街化調整区域
  • 大津町:52件のうち31件が、線引きがなく用途地域もない土地(いわゆる白地)

用途地域の外の土地は、市街化区域の土地より安い売り出しが多くありました。安く見えても、そのまま工場を建てられるとは限りません。

集計について:当社に寄せられた案件の集計で、熊本の土地市場全体の割合ではありません。住所はほとんどが町名までしか分からないため、町の代表地点で判定しています。判定の確かなもの(町のほぼ全体が同じ区分のもの)だけで数えると、全体は109件のうち59件(54%)、工場が集まる地域は70件のうち53件(76%)が用途地域の外でした。都市計画のデータは国土交通省「都市計画決定GISデータ」(令和7年度)を使いました。2026年5月22日の区域区分の変更は反映していません。

気になる土地があれば、所在地を教えてください。区域と農地の区分を調べてお伝えします。相談する(無料・中国語OK)

1つめ:区域 線引きのある町と、ない町

熊本で工場用地を探すとき、最初に確かめるのは「その町に線引きがあるか」です。

熊本都市圏の区域区分
熊本都市圏の区域区分(国土交通省「都市計画決定GISデータ」をもとに当社作成。2026年5月の見直しは反映していません)

線引きとは、都市計画区域を「市街化区域」と「市街化調整区域」に分けることです。市街化調整区域は、市街地を広げないための区域で、原則として建物を建てられません。

熊本県で線引きがあるのは、熊本都市計画区域だけです。

  • 線引きあり(市街化区域と市街化調整区域に分かれる):熊本市、菊陽町、合志市、益城町、嘉島町
  • 線引きなし(非線引き):大津町、菊池市、御船町、宇城市、八代市、玉名市

半導体の工場がある菊陽町と、すぐ隣の大津町で、ルールの土台が違うということです。

市街化調整区域で工場を建てる方法

市街化調整区域でも、要件を満たして許可を受ければ、工場を建てられる場合があります。主な方法は3つです。

  1. 既存の工場と関係のある工場(都市計画法34条7号):すでに市街化調整区域にある工場と、材料や部品の取引で深く結びついた工場を建てる方法です。熊本県の基準では、既存の工場の隣接地であること、材料・部品の6割以上が既存の工場と関係していること、製品の価値を上げる・工程や輸送を効率化するといった質の改善があることなどが求められます。熊本市の基準は、隣接が原則(やむを得ない場合は1km以内)、取引5割以上などで、量を増やすだけの場合も対象になります
  2. 地区計画(都市計画法34条10号):その場所に地区計画を定めて、計画に合う建物を建てる方法です。熊本市は2024年に「産業立地型地区計画」の基準を作りました。インターチェンジや空港の周りなど市が定めた地区(農用地区域は除く)で、1ha以上、原則として土地所有者全員の同意などが条件です。益城町の益城インター北産業団地も、町が地区計画を定めて造られています
  3. 地域未来投資促進法(都市計画法34条14号):県の計画で「土地利用調整区域」とされた場所に限り、県の承認を受けた事業計画に基づいて、工場などを建てる方法です。今の県の計画で、市街化調整区域でこの方法を使える場所は、熊本市の2か所(約28ha・約15ha)などごく一部に限られます。菊陽町・大津町には、この区域がありません

どの方法も、計画づくりと行政との協議に時間がかかります。土地を買う前に、どの方法で建てるのかを決めておく必要があります。

候補地でどの方法が考えられるか分からないときは、ご相談ください。相談する(無料・中国語OK)

線引きのない町は自由に建てられるのか

大津町や菊池市には市街化調整区域がありません。ただ、自由に建てられるわけではありません。

  • 線引きのない都市計画区域では、3,000㎡以上の開発に開発許可が要ります(都市計画区域の外は1ha以上)
  • 用途地域がある場所では、用途地域ごとに建てられる建物が決まっています
  • 用途地域のない土地の多くは農地で、次の「農地」の手続きがあります

2つめ:農地 区分で、転用の見込みが大きく変わります

熊本の郊外の土地は、多くが農地です。市街化区域の外の農地に工場を建てるには、農地転用の許可が要ります(市街化区域の農地は届出で済みます)。そして、許可の見込みは、農地の区分で大きく変わります。

現地で図面と土地を見比べる
現地で図面と土地を見比べる(写真はイメージです)
  • 農用地区域の農地、甲種農地、第1種農地:原則として許可されません
  • 第2種農地:ほかの土地で代えられる場合は許可されません
  • 第3種農地:原則として許可されます

区分のほかに、資金や計画が確かか、周りの農地に影響が出ないかも審査されます。

工場用地に向くまとまった平らな農地ほど、農用地区域や第1種農地であることが多いのが実情です。こうした農地で工場用地を出すときは、町などが計画を作って農用地区域から外す、という手順を踏みます。大津町の新しい工業団地も、農村産業法の計画で進められています。

許可を出すのは、原則として熊本県知事です。熊本市・八代市・玉名市・合志市・宇城市・菊池市など15市町は、4ha以下なら市町が許可を出します(2026年4月時点)。菊陽町・大津町・益城町・嘉島町・御船町は県の許可です。4haを超える場合は、国(農林水産大臣)との協議が要ります。

熊本市の市街化調整区域の場合、許可申請の締め切りは毎月20日で、許可まではおよそ1か月です。ただし、これは書類がそろってからの期間です。区分の確認や計画の協議は、その前に必要です。

3つめ:水 地下水を使うなら、戻す計画が要ります

熊本は、地下水で暮らしが成り立っている地域です。工場で地下水をくみ上げるなら、熊本県地下水保全条例の手続きがあります。

  • 熊本市、合志市、大津町、菊陽町、益城町、嘉島町、御船町、菊池市の一部などは「重点地域」です
  • 重点地域では、吐出口の断面積が19㎠を超える揚水機で地下水をくむには、許可が要ります
  • 新しく許可を受ける場合、くみ上げた量と同じ量(原則10割)を地下に戻す「涵養」が目標になります

水を多く使う工場では、土地を決める前に、水をどこからどれだけ取るかを決めておく必要があります。場所によって手続きの窓口が変わることもあるので、迷ったらご相談ください。

広さで変わる届け出

土地の広さによって、契約や着工の前後に届け出が要ります。

  • 国土利用計画法:一定の広さ以上の土地を買ったら、契約日を含めて2週間以内に、買主が市町村へ届け出ます。対象は、市街化区域で2,000㎡以上、それ以外の都市計画区域(市街化調整区域・線引きのない町)で5,000㎡以上、都市計画区域の外で10,000㎡以上です。何回かに分けて買う場合も、合計で判断します
  • 工場立地法:製造業などの工場で、敷地9,000㎡以上か、建物の建築面積3,000㎡以上の場合は、工事の90日前までに市町村へ届け出ます。緑地を一定の割合で確保する決まりもあります
  • 重要土地等調査法:自衛隊の施設や空港の周りは、この法律の区域に入ることがあります。熊本市の健軍駐屯地、熊本市・合志市にまたがる北熊本駐屯地の周りなどの「特別注視区域」では、200㎡以上の土地の売買に契約前の届け出が要ります。熊本空港の周りは「注視区域」で、売買の届け出は要りません

外資系の会社向けの補助金

熊本県の企業立地促進補助金には、「外資系企業」の区分があります。外資の比率が50%を超え、半導体や製造業などの対象業種に当たる会社が対象で、投資した固定資産(土地は除く)の5%、上限1.5億円とされています。県との立地協定を結ぶことが前提で、予算の範囲内での補助です。

台湾の会社の日本法人が対象になるかは、外資の比率のほか、投資の内容や県との協定などで決まります。今年度の募集の状況は変わることがあるので、使えそうか迷ったらご相談ください。県の窓口へのつなぎもいたします。

当社の進め方:買う前に、建てられるかを調べます

当社では、工場用地をご紹介する前に、次のことを調べてお伝えしています。

買う前に、建てられるかを調べる4つの項目
買う前に、建てられるかを調べる4つの項目
  1. 区域:市街化区域か、市街化調整区域か。線引きのない町なら、用途地域はあるか
  2. 農地:地目と農地の区分、農用地区域に入っているか
  3. 道路と水:接している道路の幅、上下水道、地下水の手続き
  4. 相場:周りの売り出しや取引の例と比べて、値段の目安

「買ったあとで、建てられないと分かった」を防ぐことが、最初の仕事だと考えています。県や市町の窓口で確かめた結果、建てるのが難しい土地であれば、その理由とともにお伝えします。開発許可や農地転用の申請の手続きは、行政書士などの専門家に依頼していただくことになります。

よくいただくご質問

菊陽町の近くで、すぐに建てられる土地はありますか?

工業団地の空きは、今はほとんどありません。民間の土地は、市街化区域の中の工業系の用途地域か、線引きのない大津町・菊池市の土地が候補になります。どちらも数は限られるので、通勤や物流の範囲を少し広げてお探しすることが多いです。

市街化調整区域の土地を買ってから、許可を取ればいいですか?

おすすめしません。許可が下りなければ、建てられない土地を持つことになります。

売主との売買契約に、「決めた期日までに開発許可や農地転用の許可が得られなかったときは、買主は違約金を払わずに契約を解除でき、支払った手付金は返してもらえる」という特約を付ける方法があります。この特約を付けられるか、期日をいつにするかは、売主との話し合いで決まります。内容は、契約の前に重要事項説明書と契約書でご確認ください。

なお、農地の売買は、農地転用の許可が出るまで効力が生じません。

台湾の会社でも、熊本の土地を買えますか?

買えます。日本では、外国の会社や外国籍の方も土地を買えます。日本に拠点のない会社が買う場合は、取得から20日以内に、日本銀行を通じて財務大臣へ報告します。自衛隊の駐屯地の周りなどでは、契約の前に届け出が要る場所もあります。

中国語で相談できますか?

フォームとメールでは、中国語でご相談いただけます。返信も中国語でお送りします。

熊本で工場や倉庫の用地をお探しなら、候補地の所在地を教えてください。候補地ごとに、区域、農地の区分、地下水の手続きが要るかどうかと、建てるために考えられる方法を整理してお返事します。候補地がまだなければ、広さと時期だけでも構いません。中国語でもご相談いただけます。

フォームで相談するLINEで相談する電話 096-227-776310:00–19:00/日・祝休ご相談とお調べは無料です。 熊本営業所:熊本市中央区、JR熊本駅から徒歩5〜10分株式会社ai TRADING CORPORATION 熊本県知事(1)第5962号

出典(確認日 2026-10-26)

  • 熊本都市計画区域マスタープラン(2026年5月) https://www.pref.kumamoto.jp/uploaded/attachment/310561.pdf
  • 熊本県 都市計画区域の一覧 https://www.pref.kumamoto.jp/soshiki/103/1305.html
  • 熊本県 開発許可の手引き(2026年4月版) https://www.pref.kumamoto.jp/uploaded/attachment/306134.pdf /相談窓口 /306162.pdf /開発審査会取扱方針 /306157.pdf
  • 熊本市 開発許可の手引き 第二章 https://www.city.kumamoto.jp/kiji003884/3_884_up_wgldjgx5.pdf
  • 熊本市 産業立地型地区計画運用基準 https://www.city.kumamoto.jp/kiji00357440/3_57440_475805_up_oclcmu8h.pdf
  • 熊本県 地域未来投資促進法 https://www.pref.kumamoto.jp/soshiki/65/238947.html /基本計画 /306712.pdf /区域 /306713.pdf
  • 熊本県 農地転用許可制度 https://www.pref.kumamoto.jp/uploaded/attachment/313457.pdf
  • 熊本市 農地転用 https://www.city.kumamoto.jp/kiji003765/index.html
  • 熊本県 地下水採取の区分 https://www.pref.kumamoto.jp/soshiki/49/5565.html /涵養指針 /5550.html /重点地域 /5547.html
  • 国土利用計画法 https://laws.e-gov.go.jp/law/349AC1000000092
  • 農地法 https://laws.e-gov.go.jp/law/327AC0000000229
  • 熊本県 工場立地法 https://www.pref.kumamoto.jp/soshiki/65/2673.html
  • 熊本市 重要土地等調査法 https://www.city.kumamoto.jp/kiji00352285/index.html
  • 日本銀行 本邦にある不動産の取得に関する報告 https://www.boj.or.jp/about/services/tame/youshiki/t-houkoku-g/nregt22.pdf
  • 熊本県 企業立地促進補助金要項 https://www.pref.kumamoto.jp/uploaded/attachment/260243.pdf
  • 企業立地ガイド熊本 用地検索 https://www.kumamoto-investment.jp/dynamic/info/pub/default.aspx?c_id=16
  • 益城インター北産業団地 https://www.town.mashiki.lg.jp/kiji0037154/3_7154_25335_up_0iptldxs.pdf
  • 大津町 審議会資料(2025年4月22日) https://www.town.ozu.kumamoto.jp/uploaded/attachment/16267.pdf
  • 八代市 https://www.city.yatsushiro.lg.jp/kiji00325758/3_25758_150100_up_4qypnshe.pdf
  • 菊陽町 https://www.town.kikuyo.lg.jp/kiji0035007/index.html
  • 三井不動産(2026年4月27日) https://www.mitsuifudosan.co.jp/corporate/news/2026/0427_01/

熊本での一歩を、一緒に考えます。

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