コラム

淡路のネコも納得、土地活用のあれこれ|虎の巻 ※ネコだけど

気まぐれ担当 よしこ 読了 14分
淡路のネコも納得、土地活用のあれこれ|虎の巻 ※ネコだけど

淡路島の集落を歩いていると、縁側で寝ているネコによく会います。日当たりがよくて、風が抜けて、人が出入りする。ネコが選ぶ家は、だいたい間違いない

「親から継いだ土地、何かに使えませんか」

淡路営業所で、いちばん多い相談です。畑だったり、使い道の決まっていない空き地だったり、海の見える斜面だったり。持っているだけで草刈りに追われるので、なんとかしたい、という方が本当に多い。

ただ、この相談にネットの記事どおりに答えると、まず外します。

土地活用の解説はたいてい「まず用途地域を調べましょう」から始まります。淡路島では、それをやっても答えが出ません。

先に結論を書きます。個人なら「別荘+畑」、法人なら「事業用地」。淡路島は、この2つがいちばん通しやすい島です。手続きの話も出てきますが、通る道はちゃんとあります。順に説明しますね♪

島のあちこちで見かけます。使い道が決まらないまま草が伸びていく土地は、めずらしくありません
島のあちこちで見かけます。使い道が決まらないまま草が伸びていく土地は、めずらしくありません

淡路島は、用途地域を調べても何もわからない

淡路市は、市のホームページでこう書いています。

淡路市では市街化区域、市街化調整区域及び用途地域の指定はありません

市全体で、用途地域がひとつも指定されていないということです。用途地域は「ここは住宅地」「ここは商業地」と用途を割り振る仕組みですが、淡路市の土地はまるごとその外にあります。

洲本市・南あわじ市には一部に指定がありますが、市街地のごく一部です。参考までに、当社が島じゅうの売り物件を集めて調べたところ、用途地域の記載があった277件のうち245件(88%)が「無指定」でした(2026年8月時点・当社調べ。出どころの違う2つのサイトで、それぞれ93%・83%とほぼ同じ傾向でした)。

では何で決まるのか。都市計画の区分です。同じ調査で、区分の記載がある466件を分けるとこうなりました。

非線引き区域74.9%用途の指定なし。住宅も店舗も小さな宿も建てられる
都市計画区域外21.0%建築確認すら要らない。かわりに別の規制が効く
市街化区域4.1%都会と同じルールの土地。島ではごく一部

淡路島の土地の4分の3は「非線引き区域」です。ここは、都会の感覚からすると驚くほど自由に建てられます。住宅も、店舗も、小さな宿も。

「じゃあ何でもできるじゃないか」と思われるかもしれません。ここからが本題です。

自由なぶん、別のものが効いてきます

用途地域で縛られない代わりに、淡路島では3つの別のものが使い道を決めます。

1. 瀬戸内海国立公園

海が見える土地。眺めはいいのですが、この立地こそ手続きが増えます
海が見える土地。眺めはいいのですが、この立地こそ手続きが増えます

これがいちばん見落とされます。

淡路島の海沿いは、ほぼ全域が瀬戸内海国立公園です。兵庫県の六甲・淡路・西播地域が指定されていて、島の外周はほとんど入ると思ってください。

国立公園の中では、建物を建てるときに手続きが要ります。

特別地域環境大臣の許可が必要。高さ・色・面積に基準がある
普通地域一定規模を超えるものは届出が必要

つまり「海が見えるいい土地だから、ここに何か建てよう」と思ったときに、いちばん規制が重い場所を選んでいることになります。眺めがいい土地ほど、手続きが増える。これは覚えて帰ってください。

2. 地目(農地かどうか)

地目が田・畑なら、それは農地。売るにも貸すにも農業委員会の許可が要ります
地目が田・畑なら、それは農地。売るにも貸すにも農業委員会の許可が要ります

登記の地目が「田」「畑」なら、それは農地です。農地は、農地以外のことに使うのに農業委員会の許可が要ります。

  • 農地法3条
    農地を農地のまま売る・貸す(持ち主が変わるだけ)
  • 農地法4条
    自分が所有する農地を、農地以外にするための許可申請
  • 農地法5条
    農地以外にすることを目的に、売る・貸す(持ち主が変わり、用途も変わる)

ただし「4条・5条があるから転用できる」わけではありません。ここが最大の落とし穴です。

転用できるかどうかは、その農地がどう区分されているかで先に決まります。

農用地区域内農地(いわゆる青地)原則、転用できません。まず農業振興地域から外す手続きが要ります
甲種農地・第1種農地原則、転用できません。まとまった優良農地や、公共投資が入って間もない農地です
第2種農地代わりになる土地がなければ、許可されます
第3種農地原則、許可されます

農業振興地域に入っていたり、換地処分が入っていたりすると、4条・5条は入口にすら立てません。3条(農地のまま動かす)しか道がなくなります。

もうひとつ。長く耕作されずに山林や原野に戻ってしまった土地には、「もう農地ではない」と認めてもらう非農地証明という手続きもあります。使える場面は限られますが、選択肢としては存在します。

畑つきの物件を見るときは、地目より先に「区分」を確かめてください。ここが青地だと、話がまるごと変わります。

古民家に畑が付いてくる物件が淡路島に多いのは、この畑が単独では動かしにくいからです。くわしくは別記事にまとめました。

あわせて読みたい淡路島で農地付きの古民家を買う|畑や田んぼが付いてくる物件と、農地法の壁

3. 接道と道幅

島の生活道路。車が入るかどうかで、建てられるものも工事費も変わります
島の生活道路。車が入るかどうかで、建てられるものも工事費も変わります

建築基準法の道路に敷地が接していないと、建物は建てられません。淡路島の道は、車が前提でない時代にできた場所が多く、接道で詰まる土地はめずらしくありません。

ただしこの接道義務がかからない土地が、淡路島にはあります。さきほどの表で2割を占めていた「都市計画区域外」です。ここは建築確認そのものが要らないので、接道義務も関係ありません。

逆に言うと、同じ島の中で、道に接していなくても建てられる土地と、建てられない土地が混在しているということです。まず区域を確かめてください。

活用を考える前に、まずここを確認してください。ここが×だと、以降の話がほとんど成り立ちません。

使い道ごとに、どこで詰まるか

宿・民泊 ── 海沿いはむしろ不利です

坂を下りると海。この景色が魅力であり、同時に制限区域でもあります
坂を下りると海。この景色が魅力であり、同時に制限区域でもあります

淡路島で土地活用というと、まず宿の話が出ます。観光地ですし、海が見えるので当然です。

ただ、兵庫県の民泊条例では、国立公園・国定公園・県立自然公園の区域は制限区域になっています。学校や保育所の周辺100m以内、住居専用地域、景観地区も同じです。

さきほど書いたとおり、淡路島の海沿いはほぼ国立公園です。つまり「海が見えるから宿を」という一番やりたい形が、一番引っかかりやすい。

ゼロではありません。市町長が「この区域は事情が違う」と認めて知事に申し出れば、制限が解除・緩和される仕組みが条例にあります。地域によって扱いが違うので、土地の場所を特定してから洲本健康福祉事務所(0799-26-2068)に確認するのが確実です。

なお、旅館業法の簡易宿所として営業する道は別にあります。年間180日の上限がある住宅宿泊事業(民泊)とは、そもそも制度が違います。本気でやるなら、こちらを検討したほうが早いことが多いです。

太陽光・ソーラーシェアリング ── 正直、いまは勧めにくいです

土地活用の記事は、たいてい太陽光を勧めます。当社も2023年に、農地を転用できない場合の選択肢として営農型太陽光(ソーラーシェアリング)の記事を書きました。

あの記事を書いたときから、前提が3つ変わっています。

1. 売電価格が下がりました。2026年度のFIT買取価格は、地上設置で9.9円/kWh(10〜50kW)、9.6円/kWh(50〜250kW)。制度が始まった当初の40円台とは、もう別の事業です。

2. 発電しても止められる日があります。電気が余るときに発電を止める「出力制御」が全国的に広がっていて、関西エリアでも実施されています。想定した発電量が、そのまま収入になるとは限りません。

3. 営農型は、許可のハードルが上がる方向です。農地の一時転用について、市町村が農山漁村再生可能エネルギー法にもとづく「基本計画」を作成済みであることを要件に加える方針が示されています。

ここが淡路島にとって重要です。令和7年3月末の時点で、基本計画を作成した市町村は全国で112。兵庫県内はひとつもありません(農林水産省調べ)。淡路市・洲本市・南あわじ市も、当然含まれていません。

この方針がそのまま実施されれば、市が計画を作るまで、島で新たに営農型太陽光を始めるのは難しくなります。

あわせて読みたい営農型太陽光発電(ソーラーシェアリング)とは|転用できない農地に、収入の道をつくる(2023年の記事です。制度のしくみの説明として残していますが、上の3点とあわせて読んでください)

やめておけ、と言い切るつもりはありません。自家消費が目的なら話はまったく別です。ただ「土地を遊ばせておくくらいなら太陽光」という入り方は、いまの数字では勧められません m(_ _)m

資材置場・駐車場として貸す

建物を建てなければ、手続きはぐっと少なくなります
建物を建てなければ、手続きはぐっと少なくなります

いちばん地味ですが、いちばん詰まりにくい選択肢です。建物を建てないので建築確認も国立公園の手続きも要りません(造成の規模によっては要ります)。

農地の場合は転用の許可が要りますが、宅地や雑種地なら話が早い。草刈りから解放されて、多少でも収入になるという意味では、現実解として悪くありません。

事業用地として売る・貸す

工場、倉庫、資材置場、事業所。淡路島は非線引き区域が多いので、都会より通しやすい場面があります。ただし順番を間違えると時間を無駄にします。

あわせて読みたい淡路島で事業用地を探す|やること・許認可・地目・インフラの順で決めます

売る

活用しないと決めるのも、立派な結論です。

草刈り、固定資産税、いつか来る相続。持ち続けるコストは意外と大きい。使い道が思いつかないまま10年持つより、売って別のことに使うほうが正しいケースはよくあります。

とくに相続で持つことになった土地は、早めに決めたほうがいいです。理由は2つあります。

ひとつは、話をまとめる相手が増えていくこと。兄弟で相続した土地をその次の代まで持ち越すと、売ろうとしたときに同意をもらう相手が倍になります。

もうひとつは、現地を知っている人がいなくなること。境界がどこか、隣は誰か、水路の使い方はどうなっているか。こういうことは、島にいた親世代の記憶にしか残っていないことが多い。それが失われると、売るための調査からやり直しになります。

値段の感覚だけ書いておきます。当社が島じゅうの売り物件を集めて調べたところ、土地の坪単価は中央値で10万円/坪でした。ただし真ん中の半分をとっても5.4万円〜16万円と3倍の開きがあり、島全体の平均にはあまり意味がありません。自分の土地がいくらかは、地番がわかれば個別に出せます。

で、結局どうすればいいのか

ルールの話が続いたので、ここからが本題です。うちが相談を受けたときに実際に勧めている順番を書きます。個人か法人かで、いちばん良い形がはっきり分かれます。

個人の方 ── 本命は「別荘+畑」です

個人の方からいちばん多く聞かれるのが、畑つきの家で週末を過ごしたい、いずれは移住したい、という話です。うちのサイトを見に来てくださる方も、「淡路島 農地付き 古民家」「淡路島 農地 付き物件」で探している方がいちばん多い。

そしてこれ、淡路島ではいちばん通しやすい形なんです♪理由が3つあります。

  1. 国立公園の手続きが要りません。すでに建っている家を買うので、新しく建てるときの許可や届出の話に、そもそも入りません
  2. 2023年に、畑を持つハードルが下がりました。それまでは50a(約1,500坪)以上まとめないと農地を買えませんでしたが、この下限がなくなりました。いまは畑1枚から持てます
  3. 直せる職人さんが島にいます。焼杉も瓦も、島内で頼めます。古い家を持つうえで、これはかなり大きい条件です

農業委員会の許可は要りますが、「自分で耕します」という人が通らない仕組みではありません。むしろ島は、耕してくれる人を探しています。畑つきの家を買って、週末に通って、そのうち住む。淡路島でいちばん現実的で、いちばん楽しい使い方だと思います。

あわせて読みたい淡路島で農地付きの古民家を買う|畑や田んぼが付いてくる物件と、農地法の壁

どのエリアを選ぶかで暮らし方がけっこう変わるので、こちらもあわせてどうぞ。

あわせて読みたい淡路島で別荘を持つなら、どのエリア?|西海岸・東海岸・洲本・南あわじの性格

畑つきの家、海の見える土地。島で見てきた物件をご紹介できます♪
サイトに出していない物件もありますので、お気軽にどうぞ。

使い道が思いつかない土地なら

相続した土地で、自分で使う予定がない場合です。ここは建てる方向に進まないほうが、結果的に得をします。

  1. 資材置場や駐車場として貸す
    建てないので手続きが軽い。草刈りから解放されて、多少の収入にもなります
  2. 売る
    草刈り・固定資産税・次の相続というコストから、すっきり降りられます

国立公園の許可も農地転用も開発許可も、図面と時間とお金がかかります。事業としてやるのでなければ、土地1つぶんの収益では回収しきれません。ここは正直に書いておきます m(_ _)m

お持ちの土地がいくらになるか、地番がわかればその場でお調べできます。
売る前提でなくて大丈夫です。まずは相場だけ知りたい、でもどうぞ m(_ _)m

法人の方(事業としてやる)

逆に、淡路島の非線引きは武器になります。

  1. 事業用地として使う・貸す
    倉庫、資材置場、事業所。島の4分の3が非線引きで用途の縛りがないので、都会では通らない使い方が通ります
  2. 宿は旅館業法の簡易宿所で組む
    民泊(住宅宿泊事業)ではなくこちら。ただし国立公園の区域かどうかを先に確認
  3. 開発(宅地分譲など)
    造成費と接道が壁。ただし条件が合えば島でいちばん利益が出ます

法人なら、手続きのコストを事業の規模で回収できます。むしろ手続きが要ることが参入障壁になって、先にやった人が有利になる。個人とは真逆です♪

どちらの場合も、最初にやること

地番がわかるものを用意してください。地目・接道・都市計画区分・国立公園の区域は、地番さえあれば地図と登記で調べられます。ここが決まらないと、どの案も机上の空論のままです。

調べる順番

区画の図。どこに道が付いているかで、できることが変わります
区画の図。どこに道が付いているかで、できることが変わります

相談を受けるとき、私たちはこの順で見ています。上から順に見ないと、あとで全部やり直しになります。

  1. 地目
    田・畑なら農地法。ここが最初
  2. 接道
    建築基準法の道路に接しているか。×なら建物系は消える
  3. 都市計画の区分
    非線引きか、区域外か
  4. 国立公園の区域
    特別地域か普通地域か。海沿いなら必ず確認
  5. その他
    保安林、景観地区、給排水と電気が来ているか

1と2で半分は決まります。3以降は「何が建てられるか」の話なので、そこまで進んでから考えれば十分です。

窓口

自分で調べる場合の連絡先です。

  • 農地のこと
    各市の農業委員会(淡路市・洲本市・南あわじ市)
  • 都市計画・建築確認
    各市の都市計画担当課
  • 国立公園
    環境省 神戸自然保護官事務所、兵庫県
  • 民泊
    洲本健康福祉事務所 0799-26-2068

おわりに

淡路島の土地活用は、都会のセオリーがそのまま効きません。用途地域ではなく、都市計画の区分と国立公園と農地法。この3つを先に見る、というのが島のやり方です。

そして残念ながら、眺めのいい土地ほど手続きが重い。これは変えようがないので、先に知っておいたほうが傷が浅く済みます。

とはいえ、非線引き区域が4分の3という自由さは、都会から見ればかなり恵まれています。順番さえ間違えなければ、選択肢は残っています♪

お手持ちの土地について「これは何ができるのか」を知りたい方は、地番がわかるものを持ってご相談ください。地図と登記で、その場である程度お答えできます m(_ _)m

参考にした資料

  • 淡路市「淡路市の都市計画情報について」
  • 環境省「瀬戸内海国立公園(六甲、淡路、西播地域)における許可申請等の手引き」
  • 兵庫県「住宅宿泊事業(民泊)」
  • 物件データは当社調べ(淡路島3市の売り物件551件/2026年8月時点)

気になる!と思われたら是非♪淡路島の未公開物件もあわせてご案内できます。

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