コラム

淡路島で農地付きの古民家を買う|畑や田んぼが付いてくる物件と、農地法の壁

よ気まぐれ担当 よしこ 読了 12分

淡路島で畑や田んぼの付いた古民家を買うには、農業委員会の許可(農地法3条)が要ります。2023年に面積の下限が撤廃されて何が変わったか、「無償で畑が付いてくる」の実態、いま扱っている農地付き物件までまとめました。

「淡路島で、畑の付いた古民家を買いたい」——このご相談、淡路オフィスでいちばん多いです。移住して自分の食べるものを作りたい、週末だけ畑に通いたい、農家民宿をやりたい。理由はさまざまですが、ゴールはだいたい同じところに向かいます♪

結論から書きます。淡路島に農地付きの古民家はあります。ただし、畑や田んぼは家の「おまけ」としては買えません。ここを知らないまま話が進むと、契約の直前で止まります。この記事では、その仕組みと、いま当社で扱っている農地付きの物件をまとめました m(_ _)m

洲本市五色町。田んぼの向こうに集落、その先に海。淡路島の農地付き物件はだいたいこういう場所にあります
洲本市五色町。田んぼの向こうに集落、その先に海。淡路島の農地付き物件はだいたいこういう場所にあります

先に結論だけ

  • 登記の地目が「田」「畑」の土地は、農業委員会の許可(農地法3条)がないと買えません。宅地の売買とは別の手続きです
  • 2023年4月に「一定の広さ以上でないと買えない」という面積の下限が撤廃されました(広さの基準は市ごとに決まっていました)。小さな畑でも取得の道が開けています
  • ただし「本当に耕すのか」は今も見られます。家庭菜園がしたいだけなら、地目が宅地の庭付き物件のほうが早いことも多いです

「畑付き」には2種類あります

物件情報に「畑付き」「農地付き」と書いてあっても、中身は2つに分かれます。ここが最初の分かれ道です。

① 地目が「宅地」の中の家庭菜園

敷地の一部を畑として使っているだけで、登記上は宅地。普通の不動産売買として、そのまま買えます。許可も要りません。「畑が付いてくる」と聞いて多くの方が想像するのはこちらですが、実際の物件でこのパターンは意外と少ないです。

② 登記の地目が「田」「畑」の農地

母屋の建つ宅地とは別の筆(べつのふで=別の土地)として、農地がくっついてくるパターン。淡路島の古民家では、こちらが大多数です。

実際の区画図。母屋の建つ宅地のまわりに、番号のちがう筆がいくつも張り付いています。この一つひとつに地目があります
実際の区画図。母屋の建つ宅地のまわりに、番号のちがう筆がいくつも張り付いています。この一つひとつに地目があります

この場合、家(宅地)は普通に売買できても、畑や田んぼの部分だけは農地法の手続きが要ります。売買契約は「農業委員会の許可が下りたら効力が生じる」という条件付きになるのが普通です。

農地を買うには、農業委員会の許可が要ります

農地を農地のまま買う場合、農地法3条の許可が必要です。窓口は物件のある市の農業委員会(淡路島なら洲本市・淡路市・南あわじ市のいずれか)。申請して、月1回程度の総会で審議されます。

2023年に、面積の下限がなくなりました

以前は「一定の広さ以上の農地でなければ買えない」という決まりがありました(原則5,000平方メートル=約1,500坪以上。市ごとにこれより小さい基準を定めることもできました)。これが2023年4月1日に廃止されています。

つまり、「小さすぎるから買えない」という理由は無くなりました。数十坪の畑でも、許可が下りれば取得できます。淡路島で農地付き物件を探すうえでは、かなり大きな変化です♪

それでも残っている要件

面積の縛りは消えましたが、許可そのものが要らなくなったわけではありません。主に見られるのは次の点です。

  • 取得する農地をすべて効率的に利用すること(買ったまま放置するのはダメ)
  • 農作業に常時従事すること(個人の場合。年間の従事日数の目安は市によって運用が異なります)
  • 周辺の農地利用に支障を出さないこと(水路や農道の使い方、農薬の飛散など、地域との調和)

要は「その畑を、あなたがちゃんと耕しますか」を確認されます。機械や道具のあて、通える距離かどうか、栽培の計画。ここを詰めずに申請すると止まります。

※ 手続きの運用は市ごと・時期ごとに変わります。最終的な可否は必ず各市の農業委員会にご確認ください。当社でも窓口への同行・事前相談のお手伝いをしています。

「畑をつぶして家を建てたい」はまた別の話

農地を宅地などに変えるのは転用(農地法4条・5条)で、3条とは別の許可です。さらに農業振興地域の農用地区域(通称・青地)に入っている農地は、原則として転用できません。「安い農地を買って家を建てよう」が成り立たない場所は、淡路島にもたくさんあります。買う前の確認が要ります。

農地付きの空き家を買うときの、実際の順番と日数

3条の許可が要る、というところまでは他の記事にも書いてあります。ここでは、実際にどの順で、どれくらいの日数がかかるのかを書きます。

  1. 物件を見て、地目を確かめる
    登記の地目が田・畑なら、3条の話になります
  2. その市の農業委員会に事前相談
    買えそうかどうかは、ここでだいたい分かります
  3. 売買の契約
    許可が下りることを条件にして結びます
  4. 3条許可の申請
    締切が市ごとに決まっています
  5. 農業委員会の総会で審査
    申請から2〜3週間後です
  6. 許可が下りたら、代金の支払いと名義の書き換え

淡路島3市の締切と総会の日は、こうなっています(2026年9月時点)。

  • 洲本市 申請は毎月5日まで、総会は毎月22日
  • 淡路市 申請は毎月5日まで、総会は毎月21日
  • 南あわじ市 申請は前の月の末日まで、総会は毎月20日

南あわじ市だけ、締切が前の月の末日です。月の初めに動き出しても、審査は翌月20日になります。ここを知らずに進めると、1か月まるまる待つことになります。

もう一つ、つまずきやすいところがあります。農地は農業委員会、空き家は都市計画やまちづくりの担当課と、窓口が分かれています。3市とも、空き家バンクのページに農地の話は出てきません。家と畑がセットの物件なのに、聞きに行く先が2か所に分かれている、ということです。

「農家じゃないと買えない」は本当か

広さの下限が無くなったので、小さな畑でも買えるようになりました。では誰でも買えるのかというと、そうではありません。残っている条件は、おおむね次の3つです。

  • 取得する農地を、全部きちんと耕すこと
  • 農作業に常時従事すること 兵庫県は年間150日を目安として示しています
  • 通える距離に住んでいること 南あわじ市は「道程15km以内」を目安として公表しています

距離の条件は、市によって考え方が違います。洲本市は許可の基準に「島内に住んでいること」を挙げています。島外にお住まいのまま農地を買いたい場合、市によっては難しいことがある、ということです。

運用が変わることもあるので、買えるかどうかは、その市の農業委員会か、当社までお問い合わせください♪ 事前相談の段階で、ほぼ答えが出ます。

畑を持ち続けるのに、かかるお金と手間

稲が育つ田んぼと集落
買うときの話だけでなく、持ったあとのことも先に知っておくほうが楽です

買うときの話ばかりになりがちなので、持ったあとのことも正直に書いておきます。

  • 草刈り 年に数回。夏は1か月で膝の高さまで伸びます。ご近所との関係もあるので、放っておくわけにいきません
  • 固定資産税 農地は宅地より安いですが、ゼロではありません
  • 水路や農道の共同作業 地区によっては、年に何度か出役があります
  • 放っておくと声がかかることがあります 耕作されていない農地は、農業委員会から利用の意向を聞かれることがあります

畑つきの家は、畑を使う予定がある方には安く、使う予定がない方には負担になります。ここを見極めてから買うほうが、あとで楽です m(_ _)m

なお、相続で農地を受け取った場合は、その市の農業委員会に届け出が要ります(相続を知った日からおおむね10か月以内)。売る・貸すの前に、まずここが済んでいるかをご確認ください。

「畑が無償でついてくる」というのは何なのか

当社の過去の記事でも使ってきた表現なので、正直に説明します。

売主さんが高齢になって農地を管理しきれず、「家を買ってくれる人に、畑も一緒に引き取ってほしい」というケースです。価格は宅地と建物に付いていて、農地の分は上乗せされていない。だから「無償で付いてくる」と言われます。

ありがたい話ではあるのですが、付いてくるのは土地であって、許可ではありません。3条許可が下りなければ農地は移せませんし、引き受けたあとは草刈りと管理が毎年ついてきます。ここは正直にお伝えしておきます m(_ _)m

畑や田んぼが付いた家を、いま持て余しているという方もいらっしゃいます。手放すほうのご相談は、淡路島の家・土地を売りたい方へにまとめています♪

実例:洲本市五色町の430坪(2023年・ご成約済み)

2023年に当社で扱った物件です。すでにご成約済みですが、「農地付きの古民家」がどういうものか、いちばん分かりやすい例なので残しておきます。

母屋の古民家。瓦と下見板の、淡路によくある形です
母屋の古民家。瓦と下見板の、淡路によくある形です
別アングル。手前は畑として使われていた区画
別アングル。手前は畑として使われていた区画

洲本市五色町米山。総面積およそ430坪に、鉄骨造の戸建て・古民家・畑がまとまって付いていました。価格は799万円。人里から少し離れた高台で、瀬戸内海が見渡せます。

敷地からの眺め。この日は対岸まで見えていました
敷地からの眺め。この日は対岸まで見えていました
鉄骨造の建物。ガレージハウスにできそうな造りでした
鉄骨造の建物。ガレージハウスにできそうな造りでした

この物件も、母屋の宅地と畑は別の筆でした。ご購入された方は農業委員会に申請を出し、許可が下りてから引き渡しという流れです。宅地の契約から引き渡しまで、通常より1〜2か月ほど余分にかかります。農地付きを検討されるときは、この時間も見ておいてください。

いま扱っている、農地・畑付きの物件

2026年9月時点で、淡路島で当社が扱っている農地まわりの物件です。各物件の下に、どんな方に向くかを添えました。

淡路ICから車で2分、岩屋の中古戸建て。屋上から海と明石海峡大橋、観覧車まで見えます。畑が付いていて、島の玄関口という立地。通いやすさで選ぶならここです。

畑付きの戸建て 淡路市岩屋 169坪の敷地に畑と広いバルコニー、検査済証つきの一軒
淡路島 / 中古戸建
淡路市岩屋 169坪の敷地に畑と広いバルコニー、検査済証つきの一軒
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1930年築、淡路市釜口の平屋。本宅・倉庫・蔵の3棟が建ち、入り口には大きな桜の木。「農地付きの古民家」というご相談にいちばん近いのがこの物件です。

古民家+田畑 淡路市釜口 平屋 中古戸建
淡路島 / 中古戸建
淡路市釜口 平屋 中古戸建
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淡路市久野々。9筆・600坪超の農業用地です。農業振興地域に指定されている場所なので、本気で作物を作りたい方向け。建物はありません。

農業用の土地 淡路市久野々 農業用土地
土地 / 淡路島
淡路市久野々 農業用土地
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南あわじ市八木大久保、およそ250坪の田。西淡三原ICからも洲本ICからも車で15分。淡路島でいちばん農業が盛んなエリアです。

南あわじの田 南あわじ市八木大久保 (農業用)土地
土地 / 淡路島
南あわじ市八木大久保 (農業用)土地
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よくいただくご質問

農家でなくても、農地は買えますか?

買えます。専業農家である必要はありません。ただし「取得後に自分で耕作すること」が前提です。ただし、許可の基準は市によって違います。淡路島では「島内に住んでいること」「通える距離にあること」を基準に入れている市があり、島外にお住まいのままだと難しい場合があります。買えるかどうかは、その市の農業委員会か、当社までお問い合わせください♪

農地付きの古民家に、住宅ローンは使えますか?

宅地と建物の部分は通常どおり検討できますが、農地の部分は担保評価がほとんど付きません。また農地の所有権移転が許可待ちになるため、金融機関によっては実行のタイミングを調整する必要があります。古民家は築年数の面でも融資が付きにくく、現金または一部自己資金でのご購入が現実的なことが多いです。

買った農地を、駐車場や家庭菜園以外に使えますか?

農地のままで使えるのは農業です。駐車場・資材置場・住宅にするには転用の許可(4条・5条)が別に必要で、青地の場合は原則できません。購入前に地目と農業振興地域の区分を必ず確認してください。

家庭菜園がしたいだけなのですが

それなら地目が宅地で、庭の広い物件を探すほうが早いです。許可も待ち時間も要りません。淡路島には庭が20〜30坪ある戸建てがふつうにありますので、そちらもあわせてお探しします♪

淡路島のどのあたりに農地付きが出ますか?

南あわじ市(三原平野)がいちばん農地が多く、次いで洲本市の五色・中川原あたり。淡路市は北部の岩屋・久野々方面に出ます。海が見える農地付きをご希望なら、洲本市の五色側か淡路市の西海岸が候補になります。

探すところからご相談ください

農地付きの物件は、条件が合うものが常に出ているわけではありません。サイトに出していないものも含めてお探ししますので、「このくらいの畑が欲しい」「予算はこのくらい」だけでもお聞かせください。

農業委員会への事前相談も、地元でずっとやってきた分、勝手が分かります。買えるのか買えないのかを、先にはっきりさせるところからお手伝いします m(_ _)m

※ この記事は2023年9月に公開したものを、2026年8月に全面的に書き直しました。農地法の手続きは2026年9月時点の内容です。制度も市の運用も変わることがあるので、最新は市の農業委員会でご確認ください。

気になる!と思われたら是非♪淡路島の未公開物件もあわせてご案内できます。

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